2月6日(水) 『筋肉は老人を裏切らない』

一体どうして、毎日のジムに通い、筋トレをしているのだろうか。少し考えてみた。65歳で定年後、時間がたっぷりとあるので、毎日ジムに行ける環境が整ったという大前提がまず存在する。週に、一二度、会社にアルバイトに行くが、週のうち5日は仕事もなく、フリー、つまり暇である。こう考えると、毎日のようにジムに行くのは、暇なので、その暇つぶしと考えられる。

同じように定年後の時間の潰し方としては人様々である。大学に戻って再度勉強を始めたり、買いためた小説を読んだり、麻雀やパチンコ、競馬など賭け事を楽しむ人いる。ツーリング用の自転車を買い、都内を走り回っている人もいる。毎日、都内の温泉を渡り歩く人もいる。人生の晩年、神様が与えてくれた長い余暇、これまでやりたくても出来なかった事を、やるのが吉である。

で私の場合は、ジムに通い、筋トレを定年後二年以上行っている訳だが、筋トレに夢中になるのは、筋トレに一定以上の魅力を感じているからだと思う。

筋トレの魅力とは、健康の為とか、見栄えのする体になれるからとか、老化防止に役立つからなどと言う事もあるが、私が筋トレに興味を持ち、夢中になり、魅力を感じているのは、例え67歳でも、筋肉に刺激を与えると、筋肉が大きくなると言う喜びを、実際に自分の身体で、感じる事が出来るからだと思う。例えば、肩を鍛えると、肩に瘤が出来たように丸く大きくなるし、大胸筋を鍛えると、胸に厚みをできて、大胸筋の形がくっきりと見えて来る。筋肉は高年齢になっても成長する事を自らの身体で体験できたことが、筋トレの最大の魅力だと思う。

全体としては、老化が進んでいるはずなのに、こと筋肉に関しては、67歳でも、筋トレする事で、筋繊維を太くし、成長させることが出来ると言う確信を持つ事が出来たのは大きな喜びだった。まさに福音である。

これを老化への抵抗と言うなら、そうも呼べる。あがなう事が出来ない、老化への道。全て老化へ向けて一直線に走っている中、こと筋肉は、刺激を与えると成長する。その驚きは、現代の奇蹟だと思う。

言葉を変えると、自分に残る微かな若さへの挑戦とも言えるかもしれない。重量を上げていくと、ベンチプレスで、100キロ以上挙げる事が出来たり、スクワットでは、150キロは挙げられるようになる。記録への挑戦と言う、老化を突破するような事も可能だ。老化と言う概念を超えて、もっとアクティブに、自分の体の中にかすかに残る若さへの挑戦と言えると思う。

筋肉は歳をとってもでかくなると言う成果を確認できたので、筋トレを続けていると言う結論になろうか。筋肉は裏切らない、どこかで聞いたフレーズだが、高齢でも筋トレすると、筋肉は成長する。まさに筋肉は裏切らないのだ。「筋肉は老人を裏切らない」、である。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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