4月11日(木) 『決勝に残らないとフリーポージングはできない』

ボディビルの大会では、予選を通過し、決勝に残ると、その恩典なのか、大会にショウ的要素を加えるためか、各選手に一分間のフリーポージングの時間が与えられる。フリーポージングとは、自分の好みで選んだ曲に合わせて、振り付けも自分で組んだポーズを披露できる、というもので、決勝に残った選手に与えられた権利である。鍛えた自分の体を、自分の思い通りのポーズで、観客に見せつける事が出来るので、選手にとっては、嬉しい特権である。成績や順位は、フリーポージングの前に行われる、決勝のポージングで、あらかた決まっているので、観客にとっても勿論、選手にとっても一番の御馳走である。

でも、予選を通過できないと、この御馳走にはありつけない。だから予選は、非常に厳しいセレクションの場なのである。去年の東京オープン60歳以上級には8人出場して、4人が決勝に残れた。今回は出場選手が11人で、決勝には6人が進める。決勝進出者は、2人増えて、嬉しいと思う所だが、世の中そう甘くない。11人の内、59歳が3人、60歳が2人、なんと5人が60歳になったばかりの人達なのだ。50代、現役バリバリの人が出場しては、勝ち目が薄い、決勝進出は、危ういとしか言えない。予選落ちの危機感を、かなり持たないといけないと思った。

ただ、老人には老人の逃げ道があり、決勝に残れなくても、去年より逞しい、筋肉質の身体になったと言う実感はあるので、大会の順位など、どうでもいいと言う、どこか達観している処もある。

大腿の縫工筋がいつでも見せられるようになったし、腹筋も上の2段は形が見えるし、真ん中を走る腹筋の縦のラインも目で見えるようになった。肩は盛り上がり、三角筋が丸みを帯びてきた。鏡の中の自分を見ると、去年より確かに逞しく、筋肉に溢れ、絞りも去年よりはるかにいい。確実に去年より、ビルダーの定型に近づいた感じがするのだ。67歳でも、去年よりはるかにいい身体となり、大会に臨み、それで敗れたなら、仕方がない。それは時の運と諦めよう。勝負の世界には、運も実力の内、と言う言葉があるように、実力があれば運も味方して勝たしてくれるだろう。まあそこまで尖がらなくても、運があれば勝ち、無ければ負けるだけだと考えれば気が楽だ。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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