3月11日(月) 『筋トレに前のめりになり、何故ボディビル大会に出場する気持ちになったのか』

67歳で、ボディビルの大会に出場しようなんて、普通に考えれば、ありえないことだろう。筋トレに出会ったのは弱冠16歳だが、長い期間中断していて、本格的に再開したのは65歳である。最初の健康のために筋トレすると言う目的意識を遙かに超えて、高重量の筋肉トレーニングで、身体中の筋肉を鍛えて、大きく成長させ、あげくにダイエットをして余分な脂肪を落とし、筋肉のカットを誇示して大会に出る。大会出場のためには、適当に筋トレしていては間に合わず、身体中の筋肉を、手抜きなく集中して鍛えなければならないので、結構体に負担がかかる。おまけに、筋肉のカットをよりよく見せるため、日焼けマシンで真っ黒に日焼けしないと駄目なので、皮膚の老化も心配だ。こう考えると、とても健康にいいとは思えない。おまけにポージング用のパンツはビキニ型で際どく、舞台でストリップするようで恥ずかしい気持ちもあるのだ。

勿論、どんなスポーツでも、若い時に初めて、老齢になっても続けている方は多いと思う。野球、ラグビー、アイスホッケーなど、様々なスポーツで、昔取った杵柄で、高齢になっても頑張っている方は確かにいる。少年時代から、青年、中年、熟年、老年と、同じスポーツを長期間続けてきたので、経験則で、危険な動きは避け、楽しむ事を重点に、今日まで続けてきたのだろうと推測する。何より継続してきた強みは大きい。

で、私が何故ボディビルの大会に出ようなんて考えたのかだが、私の場合、ボディビルとの縁は、高校で野球部に入った時、体力の余りの無さを痛感し、ボディビルジムに通い、筋トレを始めたのがきっかけだった。まだ16歳の少年だった。その後大学に進み、ウェイトトレーニング愛好会に入って筋トレは続け、今の言葉で言えば、細マッチョ位には身体が出来たと思う。好きな筋トレは続けたかったが、NHKに入ってからは、地方勤務が多く、今の様にスポーツクラブも地方にはあまりなく、又放送業界で、仕事が多忙な事もあり、長い間筋トレは中断を余儀なくされてしまった。転勤先でスポーツクラブやジムには入るのだが、会費は払っても、幽霊会員となり、定期的に通う事は困難だった。筋トレをしたいと言う思いは、長い間事実上諦めざるをえなかったのだ。そして、あっと言う間に40年が過ぎて、前期高齢者と呼ばれるようになってしまった。

ようやく65歳の定年をきっかけに、毎日が日曜日と思えるほど暇ができ、定期的にジムの通える時間が作れるようになった。私は多趣味で、茶道。歌舞伎、文楽、オペラ鑑賞。オートバイ、御神輿担ぎ、俳句を楽しんでいる。今まで通り、こうした趣味を楽しんでも、まだ時間はたっぷりある。野球は左目の黄斑膜異常で、ボールが二つに見えるので、もう出来ないし、ゴルフも目が悪くなり、自分のボールがどこに飛んだが見えにくくなり止めてしまった。そこで長い間やりたくても出来なかった筋トレを再びやろうと決めたのだ。でもとてつもないブランクである。40年の間の連続性はほとんどなく、数十年のサラリーマン生活で、身体は完全にデブ体形になってしまっていた。

一昨年の夏、65歳になった翌日から、週に5,6回はジムに通う筋トレ生活が始まった。最初は、健康の為と考えて始めたのが、そのうち体に筋トレ効果が出来て来ると、ジム通いが止らなくなった。大胸筋が大きくなったり、上腕二頭筋が盛り上がってくるのを実感できたのだ。65歳を過ぎているのに、筋トレをすると、筋肉がついてくるという魔法に、すっかりと罹ってしまったのである。若い方は筋トレすれば、三か月もしないうちに体に変化が起きるが、私は当時65歳である、期待はあまりしていなかったが、重量が上がると、それに平行して筋肉もついてきて、俄然前のめりになってしまった。

ボディビル大会に出るには大きなきっかけもあった。一昨年の11月4日、茶道のお茶会で倒れて、救急車で慈恵医大に運ばれたのだ。結局、身体中色々と検査はしたが、数値的に異常はなく、健康体であるとされ、倒れた原因は不明で終わってしまった。この時に、命の有限性を痛感した。悔いを残して死にたくない。生きているうちにやり残したことはやろうと考えた。筋トレで、マッチョな体を作り上げ、よりいい体になって、ボディビルの大会に挑戦しようと決意したのだ。

そうなると話は早い。筋トレを自分だけの取り組みだけでは限界を感じたので、効率よく筋トレをするために、パーソナルトレーナーにお願いして、身体中をくまなく鍛えて、大会を目指す体作りを始めた。そうして、去年、東京オープンボディビル大会に初出場したのだ。お陰様で、去年は4位に入賞できたので、今年は優勝を目指すモチベーションも生まれ、より前のめりになって筋トレしているのである。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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