1月22日(火) 『インフルエンザの効能はユーチューブにあり』

インフルエンザA型にかかってしまった。年末から風邪気味で、体調がすぐれなかったが、何とか睡眠時間をキープして、体力が減退しないように注意していたが、駄目だった。 

正月に、予定を入れ過ぎて、必死でスケジュールをこなしてきたが、14日お寺での初釜がたたって、ついにダウン、翌日病院に行くと、インフルエンザA型と診断されてしまった。祥雲寺と言う広尾の名刹での初釜だったが、隙間風が入り、寒かったのが、悪い方に後押ししたようだ。39度の高熱が出たが、薬の効き目が良く、翌日には、ほぼ平熱に戻った。ただし熱が下がってから48時間は、人に感染させる恐れがあるため、部屋からは出られないので、布団の上で過ごすしかなかった。結局、水曜日から土曜日まで、四日間寝続けてしまった。

この間何をしていたのかと言うと、アイフォンで、ユーチューブを見て過ごした。普段はほとんど観ないのだが、集中して観た。色々な投稿映像があるのに、正直驚いた。トレーニングビデオをたくさんの人が投稿していて、参考になった。

私は歌舞伎が好きで、平成の歌舞伎はほとんど見ているが、たまたま亡くなった十七世中村勘三郎の映像が出てきたので、もっと古い映像がないか検索したところ、音声だけでしか知らなかった昭和36年の歌舞伎座の「世情浮名横櫛」を映像で観る事ができた。与三郎は十一世團十郎、お富は六世歌右衛門、蝙蝠安を十六世勘三郎が勤めている。團十郎が大店の育ちのいいバカ息子をうまく演じていて、お富に惚れて、溺れて行き、ばれて、斬りさいなまれ、なんとか命は助かったので、蝙蝠安に悪の道を叩き込まれ、強請り、たかりを教わる。悪の先達、蝙蝠安が与三郎を連れて、たまたまお富が囲われている家に強請に行く。当初は、この家にお富がいる事を与三郎は知らない。話が進むうちに、与三郎は、お富に気が付き、怒りのあまり毒づく、でも裏切られたと怒り心頭なのに、一旦は愛したお富に会っているうちに、愛情が戻り、居丈高な様子から次第に、優しさも出て来る。与三郎の育ちの良さが出てくるあたりの團十郎の演技がうまい。お富も、必死の抗弁をする所が若く愛おしい。蝙蝠安のおどけた演技も、最初の小狡さから、最後に愛嬌も見せる変化も楽しい。当時の名優の、お富与三郎を観られて、インフルエンザにかかって、ちょっと良かったと思った。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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