東京オープンボディビル選手権(第26回)を終えて エピローグ

今回の東京オープンボディビル大会マスター60歳以上級4位の成績は、去年の12月、原宿ゴールドジムで働いているトレーナーの伊勢龍顕さんに、5月6日の東京オープンディビル大会に出場したいとお願いし、パーソナルトレーニングを引き受けてもらった事に始まる。4位入賞は、すべて伊勢トレーナーの指導の賜物である。

実際は、1月から週一回から二回のパーソナルトレーニングを行ってきた。伊勢さんの指導は、高重量は扱わず、低重量で、動作を正確に行い、目標の筋肉に的確に効かせる事を徹底していた。胸、背中、肩、腕と、鍛える分野を分けて、それぞれのトレーニング種目を厳選し、一つ一つの種目の、動作を厳しく指導された。

伊勢トレーナーは、更に、栄養面で、糖質ダイエット、脂質ダイエットで食事の管理を要求してきた。米、パン、饂飩、パスタなどの炭水化物を取らず、食事は、野菜と肉、プロテイン中心の食事に変えるように求められた。代表的なメニューは、朝食は、サラダ、コーヒー、ヨーグルト。午前中トレーニング後にプロテイン40グラム。昼はサラダとプロテイン40グラム。夜はステーキ300グラムという内容だ。肉は脂身の少ない牛肉,鶏肉は胸肉かささみを食べた。

朝の珈琲は、これまでずっとカフェオレにしてきたが、コーヒーだけで飲む事にした。サラダのドレッシングには、梅紫蘇ドレッシングを使い、余分な資質を取らない事を徹底するように命じられた。夜食の果物は禁じられ、好きなチョコレート、煎餅などのお菓子類も食べられなくなった。茶道のお稽古で、生菓子がでるが、これも食べられなくなった。食生活の変革を求められ、90%はその通りに実行した。私にとっては大革命だった。

100日前の私の体は、一昨年の定年退職後、ほとんど毎日ジムに通い、筋トレを続けた結果、66歳にしては、やや太めではあっても、デブとは言われず、胸板は厚く、一見たくましく、頑強に見えていた。その実、腹は突き出て弛み、三段腹にもならず、脂肪がつきまくっていた。尻の肉も垂れ気味となり、66歳、頑張ってはいるものの、崩れかけた身体はいかんともしがたい状態だった。

しかし、伊勢さんの指導と、糖質ダイエットが上手く回転するようになると、体に変化が起き始めた。次第に、体全体を包んでいた脂肪が消えていき、脂肪に隠れていた筋肉が姿を表してきたのだ。

お相撲さんの胸のように垂れ気味だった大胸筋が、固く締まってきて、厚みを増し、指で押すと、弾き返されるようになってきた。両胸の間の縦のラインが深く、くっきりとしだしたし、胸を流れる血管が見えるようになった。

上腕部も、太さはあったが、二頭筋の姿は脂肪の中にあり、ピークも見えなければ、血管も見えなかったのだが、二頭筋の脂肪が落ちるのにつれ、二頭筋の上にかかる脂肪が取れて、裾野が削られていき、山のような二頭筋が姿を現して来た。二頭筋と言われるように、上腕二頭筋には、ピークが二つある事を確認できるようになったし、血管が浮き出て、二頭筋の太さを飾るようになってきた。三頭筋も、馬蹄形の形がより大きくなり、腕を横から見た時に、二頭と三頭のセパレーションが見えるようになってきた。

三角筋も、以前はほとんどなく、撫肩であったが、三角筋の前、横、後ろを立体的に鍛え出してから成長を始め、大きく膨らんでいく感じがした。流石にメロンのような三角筋にはならなかったが、撫肩を脱却し、前から見ると、肩の部分に瘤が出来たように見え、肩幅が広がって見えるようになった。余談だが、タンクトップを着用すると、肩がない物だから、腕の方に、紐の部分がズレ落ちてしまっていたが、紐の部分が、三角筋で止まるようになり、ズレ落ちる事がなくなって、ちょっと嬉しかった。

腹の脂肪も、丸く突き出た形から、三段腹になり、更に5段腹、七段腹、最後には、12段腹になり、腹の脂肪が、段々薄くなる過程を、目で確認できた。腹筋のシックスパックヲ出す事を目標にしてきたが、力むと、上から二段目までは、その姿が見えるようになってきた。最終的には絞り切れず、腹にはまだ脂肪が残り、シックスパック全体を拝むことはできないで終わってしまった。腹の脂肪は、ある程度落とせたが、余った皮膚が、皺の様になってたるんでしまったが、ここは年齢の壁を強く感じた。

脚は、自分では元々太さには自信があったが、痩せるにつれ、脚の脂肪も落ちてきたのか、カットが見えるようになり、次第に深くなってきた。脚に凸凹感はあまり感じたことがなかったが、脚を伸ばして、指で触ると、筋肉の畝が確認でき、皮膚の下の筋肉の存在を強く感じた。

このように100日の間で、私の66歳の身体は驚くべき変化を遂げた。まるで類型的なボディビルダーのような体になっていた。正確に言うと、ボディビルダーの体つきに近い身体に生まれ変わっていた。老化が進む中、こうした身体の変化は、現代の奇蹟とも思えるのだ。私にとっては、100日で、身体が次第にマッチョになって行く過程を楽しめたし、成果も得た。大会に出場する事は、一応の目標ではあっても、すでにおまけの存在になっていた。東京オープンボディビル大会マスターズ60歳以上級で、予選を通過し、4位に入賞することが出来たのは、一つの勲章であり、努力へのプレゼントと考えたい。

 筋トレに加えて、大会に出場するため、糖質ダイエット、脂質ダイエットを行って100日が過ぎた。大会での成果は出たが、糖質、脂質ダイエットが、健康にとってプラスなのかマイナスなのかは、まだ正直に言って分からない。主食のコメを食べない生活が続いた。主要な栄養素である炭水化物を食べないのは、健康面で影響が出るかもしれない。66歳の年齢を考えると、今の健康な状態をできるだけ長く伸ばす事が最重要で、無理を長く続けるのは禁物だろう。

来年の大会は優勝するぞ、と大きな声で叫びたいが、健康優先に考えると、何とも言えない。せっかく作った今の体を、維持して行こうとは思う。短期集中のマッチョ化計画、腹筋のシックスパックは見ることが出来なかったが、上からフォーパックまでは見ることが出来た。なるべく早くシックスパック全体を拝みたいものだ。

 

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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