平成29年12月5日(火)「BS句会特選2句、やった面目を取り戻す」


朝起きると、普通の状態で、安心した。昨日は、寝にくく、毛布を一枚よぶんに乗せたからか、布団全体が重く、布団に包まれながら、体が回転しているようだった。ただ熱は、なく、やはり健康な体には、羽毛布団と、毛布二枚は、重く感じたのであろう。

明日はテレビ担当なので、髪の全染めを尚美がしてくれた。

朝から俳句を作り続けた。先月は、5句誰もとってくれないので、がっかりしたので、今回は、失地回復である。三時まで句作をし、ジムで、胸を鍛えて、句会の会場に、入った。


BS句会の先生は、櫂美知子さんだった。地名を読み込むこんだ句を1句。袖なしの綿入れで、名前を、負真綿(おいまわた)というが、これで1句作れと言うのが先生の指示であった。5句の中で。2句特選に選ばれたし、1句並選で選ばれ、面目を保った。

以下提出句。

燭光に冬を沈めて螺鈿皿        福花特選、先生、みちる 並選

日めくりや10ミクロンの大晦日    すろう特選、こま、りこ並選

木枯らしやウツボカズラのような女   福花並選

断捨離や死なば皆屑負真綿

蛇と鞭水責めとなり寒の水


句の解説

燭光に冬を沈めて螺鈿皿  

先日の大橋茶寮で行われた森さんの夜の茶事での出来事を句にした。蝋燭の光、燭光のかすかな光の中で、螺鈿皿が、妙に生生しく思え、沈んでいた螺鈿の光が、薄暗がりの中で、ところを得たように、俄然美しく見えてきた実体験を句にした。貝の内側、昼間でも暗く、夜は一層暗い中で、誰も見ることはできないが,暗さの中で輝きを増すのは、当然であるような感じがした。季節をどう入れ込むか難しいところだったが、中七を、冬を沈めて、と表現した。最初は、燭光に沈み輝く螺鈿皿、だった。

櫂先生は、プチゴージャスと批評してくれた。


日めくりや10ミクロンの大晦日 

トイレに架かっている日めくりカレンダーも、後一か月分となり、厚さは数ミリになっている。元日に架けた時には、三cmくらいの厚みがあったのに、今はたった数ミリとなってしまった。光陰矢のごとし、日々スピード早く、一日一日が過ぎて、薄くなっていった。紙を触ると、極めて薄い紙だ。3,5センチを365前で割ると、0,01mmとでた。一日の髪の薄さは、ミクロンの単位にすると、10ミクロンになる。元日から、一枚一枚切り取ってきた。一日の時間は、季節がどうであれ、24時間、この時間を紙の厚さで計ると、10ミクロンとなる。何も用事がない一日も、正月も同じ24時間、紙の厚さも、元日も、誕生日も、大晦日も10ミクロンである。24時間の中身の濃淡はあり、体感としては、変るのだが、数字的には、同じと言う面白さを、句にした。


木枯らしやウツボカズラのような女 

先日、NHKの自然番組で、ボルネオの食虫植物を取り上げた。大きな袋状の中に、昆虫を蜜で誘い、その虫を、滑らせて落とし、溺れさせて殺し、袋の中にたまった消化液で、溶かして吸収してしまう。植物が、昆虫を、つまり食べてしまう補虫植物なのだ。一番大きな、補虫植物の名が、ウツボカズラという。こんな女に捕まったら大変だ。


断捨離や死なば皆屑負真綿

この句は、断捨離、という言葉が、はやっていて、この言葉で一句作ろうと考えたのである。断捨離とは、生前に、自分の財産、持ち物、衣服、本、資料などをぎりぎりまで捨てて、みがるになろうという考え方だ。死ぬ前に、自分の持ち物を整理するのが、当世風だというのだが、死ねばすべてごみとなり、死後家族が、業者に頼み、皆捨ててくれればいいのであって、こんなことに時間をとるのはもったいないと考えたからである。当初は、駄句千句断捨離できず年の暮、断捨離や死なば皆屑枯れ落ち葉、と言う句を作った。先生の兼題で、負真綿が出て、落ち葉に変えて、負真綿を付け替えたのである。負真綿は、生活に密着して、必需品であろう、だから自分では捨てられない。そんなに必要なものであっても、その人が死ねば、単なるごみとなる。死ねば皆ごみになると、だれかが句に作ったが、私もそう思うのだ。断捨離しても、まだたくさんの物が残る。時分にとって大切なものだが、死ねば、自分も含め、皆ごみになるのだ。


蛇と鞭水責めとなり寒の水

秋が深まり、初冬の頃、ジムで筋トレを終えて、シャワーを不用意に浴びると、いきなり冷たい水が体にかかり、あわてて水を止める事がある。夏場は、気持ちよかった水が、冷たすぎて、水による刑罰を受けたような感じになる。真冬、裸にして、冷たい水をかけたり、捕虜収容所で、水責めをするときも、温かい湯ではなく、きっと冷たい水が使われるのだろうと、想像してしまう。どこか、被虐的な、SM的な感じがしてきて、団鬼六の小説のタイトル、蛇と鞭が思い出され、一気に作ったのが、この句。誰も入れてはくれないと、革新があったが、あえて。ほかの句は出さず,この句を出してみた。予想通り、誰も選んでくれなかった。