2018年2月25日(日)『国立劇場文楽二月公演、花競四季寿、摂州合邦辻の合邦住家の段』

国立劇場の文楽公演に行く。花競四季寿と題して、万歳と鷺娘。もう一つは、摂州合邦辻の合邦住家の段が上演された。今回は、竹本綱太郎五十回忌追善公演であり、竹本織大夫襲名披露公演である。

 文楽でも十分舞踊が、楽しめる事が分かった。人形が、舞台に平行に立つだけでなく、斜めに立ち、一方の肩をあげて、立体感を出す工夫がされていた、首、手、胴。脚が、バランスよく動いて、まさに踊っているように見えた。人形に命があり、舞ってるいるようで、驚いた。一体の人形を3人が操っているが、人形を操る人たちの修練の物凄さを感じた。文楽の人形は、三人一組で一体を遣う。人形遣いは、修行が長い。足を持つ足遣いが10年、人形の左手を操る左遣いが15年、首と右手を動かす主遣いになるまで長い修行が必要と言われている。普通の人間の動きを表現するのも大変なのに、踊るように見せるのは、一層大変だと思う。先輩に認められないと、先に進めない本物の芸の世界で、歌舞伎のように、看板役者の子に生まれれば、その子は御曹司と呼ばれ、父の跡をついでいけるが、文楽には、そうしたことがない、実力の世界であることが、清清しいと思う。でもプロになるのは、大変だね。

 襲名した織大夫は、摂州合邦辻の合邦住家の段の後を語った。合邦、その妻、玉手御前、奴入平、朝香姫、俊徳丸、6人のキャラクターを演じ分けた。音域が広く、一つ一つの言葉がはっきりしていて、感情豊かで、勢いがある語りである。将来が、楽しみだ。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

ニュース, ナレーション, 司会, 歌舞伎, お茶, 俳句, 着物, 元NHKアナウンサー