2017年4月15日(土)『新国立劇場公演、美輪明宏の葵上、卒塔婆小町を観る』

新国立劇場で行なわれている美輪明宏主演の「葵上・卒塔婆小町」を観た。

葵上は、恋のライバルを、生霊となって、殺すと言う、芝居だ。源氏物語の世界である。時代は、今に置き換えているが、恋愛は極めて、自己本位であり、恋のライバルは、潰して当然と言う、平安時代の恋愛の考え方がよく分かった。生身魂となって、恋のライバルを殺すことはなくても、自分に気を引くように、務めるのは当たり前なので、良く分かる芝居だ。

卒塔婆小町は、恋愛は、生まれ変わっても、転生すると言う物語である。100歳の小野小町が、とある公園で、まるで乞食のような姿で現れる。この後、20歳の小町として現れるが、容貌の衰えた美輪明宏は、若くもなく、美しくもなかった。到底二十歳の絶世の美女には見えなかった。二十歳から三十歳頃の美輪明宏で見たかった。相手役の小林彰吾が、何年か前は美青年めいていたが、年を取り、むさくるしかった。美輪明宏の好みなのだろうが、仕草が、スパッとしていないで、中年のオネエが無理して演じているように見えて辛かった。世の中に、美青年役をと止める俳優は、あまたあるのに、この配役でいいのか微妙に思った。セリフの中に、「綺麗な人は歳をとっても綺麗だ」というものがあった。私が、妻に毎日言っている言葉なので、はっとした。それにしても、卒塔婆小町が、現代に、何を訴えっているのか、分からない芝居であった。