2016年11月9日(水)『東劇で、シネマ歌舞伎、スーパー歌舞伎Ⅱワンピースを見た』

 1時半から東劇のシネマ歌舞伎、「スーパー歌舞伎Ⅱワンピース』を見た。新橋演舞場で、去年のちょうど今頃、公演があり、評判が、すごく良いので、あわててチケットを手に入れ、観に行った記憶がある。先代の猿之助が始めたスーパー歌舞伎を、当代の猿之助が、スーパー歌舞伎Ⅱとして挑んだ最初の作品が、ワンピースだった。

ワンピースという漫画を、歌舞伎化した作品なのだが、歌舞伎をあまり見た事がない人は、三味線も、義太夫も、下座音楽もない作品だから、歌舞伎には、見えなかったに違いない。私はと言うと、一年ぶりに作品を見て、こんな作品だったっけと、驚いてしまった。ルフィーという主人公に猿之助が扮し、仲間たちと、兄のエース(福士誠治)を救出するため、大活躍するというストーリーだが、家族愛、仲間愛を、究極的に追い求めた物語になっている。現代は、喪失してしまった家族愛、仲間愛を、いつも口にするルフィーは、古典的なキャラクターではあるが、家族愛はともかく、仲間愛は、今は失われてしまった愛だけに、今の若い人には、かえって新鮮なのかもしれない。

原作のキャラクターをうまくうつして顔を造型し、メイクして、さらに派手派手な原色の衣装、メイク、服飾品に身を包み、歌と踊り、戦いに挑んでいく。流行のプロジェクションマッピングを使ったり、効果音を使ったり。本水を使った滝の中での大立ち回りがあったりと、視覚的に大いに楽しい作品で、極上のエンターテインメントに仕上がっていた。実際の舞台は観たのだが、一年前は舞台に、何を見ていたのだろう、ほとんど記憶に残っていないのが悲しい。

猿之助が、若若しく見え、少年役を、なんなくこなしていたのが、一番記憶に残っている。今日は映画と言う形式で、ワンピースを改めて観たのだが、アップで、顔が映っても、少年にしか見えない、猿之助という役者は、相当凄いと思う。化け物のような役者だ。 

 去年11月23日に、新橋演舞場で観劇した時の、劇評を改めて、載せた。