2016年4月20日(水)『歌舞伎座四月昼の部。松寿操り三番叟、松寿操り三番叟、身替座禅』
歌舞伎座四月大歌舞伎、昼の部をみた。最初は、染五郎の「松寿操り三番叟」、後見は松也。後見が、糸操りの三番叟の人形を取り出し、染五郎が人形となって、人形振りで、三番叟を踊るという趣向。染五郎が、軽快に、時にはコミカルに踊って、愉しい一幕になった。時には糸が縺れて、松也は、切れた糸を、直すシーンは、切れた糸の端をはさみ、繋ぐシーンは、色っぽくて、ぞくぞくした。しどころは、あまりない後見役だが、この色っぽさが、今は松也にしかいない特徴だと思う。美しくて、色っぽくて、逞しい男性から恋焦がれる稚小姓役ををやらしたら、エロくて、いいなと思う。
二幕目は、幸四郎の、不知火検校、の再演。幸四郎が、めくらの悪の化身を痛快に、あくどく、ふでぶてしく好演していた。元々幸四郎は、色悪の魅力を出せる役者だが、盲目の悪の化身を、これでもか、これでもかと、ぶつけてくる。人を殺して金を奪う事は、許されないことだが、見ていて、段々痛快になってくるのが不思議だ。親方の不知火検校までも、殺して、主人の役割を奪うのだが、悪逆非道に思えて、見ていて、痛快になってくるのは、不思議な感覚だ。幸四郎マジックと言うものか。めくらが、眼あきの手下を使い、次々に人を殺して、金を奪うシーンは、普通ではありえない事だが、めくらが、めあきを従えて、中心的な存在になり、手下が、殺人の及ぶあたりが、被虐性をおびていて、たまらない。まあ、宇野信夫作、演出による戦後に作られた新作歌舞伎だが、悪の言葉の一言一言が、粒立っていて、心を逆に打つ。
三幕目の身替座禅は、身体が冷えてきて、撤退して、見られず残念。
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