2016年4月2日(土)『下平克宏演能の会、敦盛』
千駄ヶ谷の国立能楽堂で、下平克宏演能の会に行く。1時開始、出し物は、敦盛。狂言が空腕、最後に下平さんがシテ老木桜の精を務めた西行桜。高崎で、下平さんを、ラジオの群馬の力で、紹介した付き合で、チケットを購入したもので、能が好きなわけではない。稲葉先生が、一昨年から、仕舞を始めたので、声を掛け、ご一緒した。敦盛は、14歳で、熊谷直実に首を討たれた、美少年だが、敦盛の気品が、よくでていて、能と言うと、御爺さん的な動きで、かったるいが、敦盛は、きびきびと動き好感を持った。西行桜では、下平さんは、老木桜の精を演じたが、腰の位置、肩の位置が、終始変わらず、同じ姿勢を取り続けている事に、修練の精華を観た。床の上に、やや前傾しながらも、すっくと立ち続ける技芸に感動した。それから、声が、本当に、老木が、語っているようで、低く響く声で、これもマジックであるように思えた。
西行法師が、隠遁生活をしていると、庵に咲く老木の桜を見せてもらいと、人が押し寄せる、仕方なく客を招き入れるのだが、「人を引きつけるのは、美しさゆえの桜の咎であろう」と考える。西行は、木陰で桜を眺めてると、老木の桜の精が現れ、西行に「浮世と見るも、山と見るも、ただその人の心の中にある」と言って消える。
0コメント