令和3年3月16日(火) 「歌舞伎座3部を見る。楼門五三桐。雪、鐘ヶ岬」

歌舞伎座三部を見る。吉右衛門の楼門五三桐と玉三郎の舞踊で、雪と鐘ヶ岬の2本。

体力的に衰えが見えてきている吉右衛門を、わずか20数分の楼門五三桐で主役を演じさせるのは、一体どこに狙いがあるのだろう。と言うのも、吉右衛門の石川五右衛門は、演じれば素晴らしいのは分かり切っているのだが、今日は、声にいつもの張りがなく、身体も重いように見えたからだ。歌舞伎界の至宝といえる吉右衛門に無理を強いても、玉三郎の舞踊との抱き合わせ販売で、歌舞伎座の観客席を、せめて座れる席は、満席にしようという事なのだろう理解した。松竹の営業戦略なのだろう。

楼門五三桐は、豪華な山門がせり上がる仕掛けは見事だし、山門なれど、金銀で飾り付けた建物は豪華絢爛で、いかにも歌舞伎らしい華やかさがあり、目を楽しませてくれた。吉右衛門の存在感もあって、短時間だが歌舞伎らしさを堪能した。吉右衛門の脚が、衣装から覗いていたが、あまりに細い印象だったので、驚いた。体調が悪い証拠のように思えた。

玉三郎の舞踊、雪と鐘ヶ岬の2本。地唄舞で、動きは見た目は少ないが、ゆったりと、静かさに踊っているように見えて、常に体のどこがが動いている。それをあからさまに見せず、ゆったりと、いつの間にか動いている舞踊だった。玉三郎の美しさは、比類がなく、現在の歌舞伎界で、玉三郎より美しい女形はいないので、まさに奇跡的な、玉三郎の美の世界を味わって、歌舞伎座を後にした。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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