8月27日(火)『歌舞伎座三部、玉三郎の雪之丞変化』

 日本一の女形が、男が女を演じる歌舞伎の女形の虚構を、男一生の仕事なのかと言う問いかけを、自らにぶつけ、自分は一生女形として生きて行く、死ぬまで女形を続けて行くしかないと言う強い決意を、雪之丞変化と言う舞台を通じて、玉三郎が、観客に宣言した舞台だと感じた。玉三郎の大ファンの私には、この決意表明が非常に嬉しかった。沖縄舞踊、シャンソン、太鼓、と活動分野が広がり、歌舞伎役者としての活躍が、相対的に低下していると思っていたから、歌舞伎の女形として歌舞伎界に君臨し、死ぬまで女形として突き進む決意を聞いて、頼もしいと思った。

 映像を効果的に使った今回の舞台。様々な試みを行い、歌舞伎の可能性を拡大したと思う。相手役を映像のスクリーンに映して、生身の出演者が、スクリーンの相手役と会話をしたり、5G時代を先取りして、舞台と観客席を同時に見せたり、演出家としての玉三郎は、歌舞伎の可能性に挑戦していて、演出家としての玉三郎の今後の活躍にも期待を持てた。

 映像を効果的に使うと言う事で考えたのだが、このところ、娘道成寺を、玉三郎を含めた二人や五人で踊る事が多かったが、映像を使えば、玉三郎一人では踊り通す事が、肉体的に出来なくなっても、映像とパートを別け、部分的に踊ればよいと言う可能性も出てきた。地方公演では、すでに映像付きの舞台も開催しているようだが、歌舞伎役者のひのき舞台、歌舞伎座でも、こうした挑戦をしていく決意表明したと、私は受け止めた。例えば、娘道成寺を、一人で26日間連続公演できなくても、映像を使う事で、体力を維持して、一か月公演を乗り切る事が可能になった。女方としての延命を可能にする取り組みと言ってもいいと思う。玉三郎が、生きている限り、現役の女形として、歌舞伎座に立ってくれれば、一ファンとして大変喜ばしい事だ。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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