1月5日(土)『浅草歌舞伎昼の部。戻駕色相肩、義賢最期、芋掘長者』

 歌舞伎座、新橋演舞場、に続き、今日は浅草歌舞伎である。昼の部を見に行った。尾上松也中心の座組、本当の若手ばかりの、まだ花形役者と言うには、少し早い役者達の舞台となった。歌舞伎のタイトルも、浅草新春歌舞伎と銘打って、花形と言う言葉を敢えて、避けている。でも座頭の松也、三津五郎の息子の巳之助は、まさに花形といっていいだろう。

 演目は、戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)、義賢最期、芋掘長者の三演目。常磐津大活躍である。

 戻駕色相肩は、歌昇、梅丸、種之助の常磐津舞踊。駕籠かきが実は秀吉と石川五右衛門であると言う意外性のある踊り。

源平布引滝、義賢最期は、義賢の奮戦ぶりが見どころ。松也は勇壮な義賢を、声のトーンを落として、勇者らしく演じた。何時もの松也だと、どこかにふと甘さが出るが、今回は全く感じなかった。座頭の責任と、浅草歌舞伎5年の重さと、成長を感じた。松也fanとしては、正月から嬉しい事だ。義賢最期は、仁左衛門,愛之助でこれまで何度も見て来たが、松也の義賢最期は、歌舞伎座でも十分演じられると思った。奮戦の中、ふすま倒し、階段に前からぶっ倒れる最期は勇壮で、悲壮だが、綺麗な顔の松也には。悲劇の武将にぴたりと合い、ニンに合い、悲劇性が増したと思う。

芋掘長者は、踊りのうまい役者が、踊りが下手な役者を演じる所がみその舞踊だ。亡くなった三津五郎と勘三郎で見たが、踊りの名手の三津五郎が、わざと人を真似て下手に踊るところが面白く、芋ほりの踊りも楽しかったが、巳之助は、まだ踊りの名手と言うにはまだ早く、橋之助の方の踊りが上手く思えてしまったのでは、洒落にならない。この踊りは、踊りの名手が、わざと下手に踊るところが面白く、舞踊を見ていて楽しい所だが、巳之助には、まだその力量を感じなかった。

橋之助が踊り始めた時に、大向うから、大声で、「待ってました,太和屋」と声がかかった。これから踊るのは、橋之助で、成駒屋である。でも会場の浅草公会堂には、驚く様子はなく、間違いを感じた人はいなかった。歌舞伎座とは違う観客だと思った。風邪で声が出ず、すかさず、成駒屋と声を返したかったのだが、できずに残念だった。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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