2018年3月7日(水)『歌舞伎座三月大歌舞伎昼の部、国姓爺合戦、男女道成寺、芝浜皮財布』

歌舞伎座の昼の部を観る。場内、空き席が目立っていた。演目は国姓爺合戦、男女道成寺、芝浜皮財布。

国姓爺合戦は、1715年正徳5年に近松門左衛門が作り、人形浄璃々で初演されたもので、次の年には、歌舞伎になったものである。台湾を拠点に活躍した鄭成功をモデルにしたワールドワイドな舞台である。明国が滅亡の危機に瀕していると言う時代設定。ここにかつて明国に仕えていた老一官(東蔵)、日本人の妻渚(秀太郎)、子の和藤内(愛之助)の3人が、明国を助けようと、海を渡る。援軍をしてもらおうと頼んだのが、獅子ケ城。城主の五常軍甘輝(芝翫)の妻吉祥女(芝雀)は、一官の先妻の子である。

今回は、獅子ケ城楼門から始まるので、いきなり城の前に3人が現れるので、和藤内の荒事のしどころがないのが残念。中国が舞台なのに、スケール感はゼロ。舞台装置も、豪華さに欠けてチープ。中国人役の兵士が、和藤内の刀の重さを面白く表現する処で、場内から笑いが起きる。日本人が、昔感じた中国語風のでたらめ中国語が、可笑しいが、今では差別と考える非難の声も出てきそうだ。カーリングの五輪銅メダルのシーンを引っ張って笑わせるが、これはご愛敬。和藤内の隈取が、見事だが、荒事の衣装から最後は、中国風の衣装に変わるが、堂々として立派だった。芝翫の甘輝も堂々としていた。正直言って、通し手で見た時の面白さはなかった。よくでる見取りは、面白いが、たまに出る演目の省略版は難しい。ストーリーも何も知らないで、この舞台を見たら、途中で飽きて、出てしまうだろう。

次は男女道成寺。先代雀右衛門の七回忌追善狂言である。相手は松緑、女形で一緒に踊るのだが、イケメン俳優ではないので、女形になっても、化粧に無理感があり、綺麗に見えないところが辛い。踊りは美味いと言っても、道成寺は見た目の美しさが大事。ちと無理を感じた。本当なら、芝雀が、ぴんで道成寺を踊る方がいいとは思うのだが、松竹の考えは異なっているようだ。今日は、引き抜きが上手くいかず、松緑の着物が、捲れて見苦しかった。

 芝浜皮財布。落語から、大正10年に舞台化された作品である。海で拾った大金を、妻が夢だと言い、心を改めて仕事に励み、3年後成功した暁に、女房が本当は、財布を拾ったのは間違いない、あの時には嘘を言ったと独白し、亭主も笑って幕となる、世話物だ。

 魚屋の政五郎は芝翫、女房は孝太郎。早朝海岸で財布を拾った時は、面白くなると期待したが、段々と世話物らしくなくなり、時代がかると言うか、嘘っぽくなるので、芝居とは難しいものだ。結局落ちがなく、なんだかわからないうちに、芝居が終わってしまった。この手の芝居は、遊びがないとつまらない。真面目に演じられても、見る側は疲れるだけ、適当に、面白く演じてくれるといいのだが、遊び心があった勘三郎が懐かしい。