2017年2月16日(木)『歌舞伎座2月昼の部、猿若江戸の初櫓、大商蛭子島、四千両小判梅葉、扇獅子』

 二月の歌舞伎座は、『猿若祭二月大歌舞伎』と銘打っての興業で、勘九郎の二人の子息が、初舞台を踏むのが、最大の話題である。ただ、昼の部には、勘九郎の二人の子供は登場しなかった。最初は、「猿若江戸の初櫓」、中村屋の歌舞伎における、歴史を振り返る舞踊である。勘九郎が、コミカルに踊っていた。出雲の阿国と、道化の猿若が、奉行の板倉勝重から日本橋中橋に猿若座の櫓を上げることを許される、と言う芝居で、中村屋の歌舞伎における歴史を振り返る舞台である。中村屋の正当性のPRで、自己肯定的な内容で、宣伝臭さが漂ったが、猿若祭なので、まあいいか。

次が、「大商蛭子島」。源頼朝の挙兵までのいきさつを、描いた作品である。幸座衛門は、手習の師匠をして娘たちを教えている。教え子たちの手を握ったり、胸を触る好色振りを見せている。焼きもちの強い奥さん、おふじと住んでいるのだが、そこに美しい娘、おすまが弟子入り志望に来るが、追い返してしまう。世話物で始まるが、結局、お須磨は北条政子、幸座衛門が頼朝で、平家討伐の院宣を受けて、平家打倒の旗揚げをするというものだ。実は、・・・・と言う話の典型的な芝居だが、天明4年、1784年に、中村座で初演されたものだどうと言う芝居ではなく、頼朝が好色な人物だと描いたあたりを、江戸時代の人は、面白く見たのであろう。

 次が「四千両小判梅葉」、20年前に見た記憶がある。江戸時代の、牢屋の中がどうなっているのか、ビジュアル的に良く分かり、面白く見た作品だった。今回も富蔵は菊五郎が演じた。物語は、富蔵と、梅玉演じる主筋の藤十郎が共謀して、江戸城から四千両を盗み出し、成功するが、その後、金沢で捕まった富蔵は、江戸に送られる。牢屋に入り、磔の刑に処せられるという筋である。富蔵と、気の弱い藤十郎の性格の違いの描き方、金沢から江戸に送られる途中、女房、娘、義父との涙の別れ、牢屋の中での出来事、新入所者の紹介の方法、刑の宣告のやり方、など、現在では、もうわからない江戸時代の牢屋のあれこれが、分かり、それなりにオモシロいが、20年前に見た以上の面白さは感じなかった。

 扇獅子は、観ないで帰った。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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