2015年12月6日(日)『新国立劇場　ファルスタッフ』

新国立劇場で、ベルディのファルスタッフを観た。ベルディの最後のオペラで、珍しい喜劇だ。デブの老騎士が、金目当てに、裕福な夫人、アリーチェとメグの二人に、全く同じ内容のラブレターを書くところから、物語は進展する。裕福な夫人をうまく誘い、金目当てで、付き合おうという算段だ。アリーチェの亭主のフォードは、自分の妻にラブレターを送ったファルスタッフに怒り心頭になる。このラブレターを二人の夫人が見せ合い、同じ内容だと知り、ファルスタッフを、とっちめてやろうという展開となる。ある日の夫の留守に、アリーチェは、自宅にファルスタッフを呼び寄せるが、この現場に、あらかじめ連絡を取り、メグも姿を現す。しかし、二人は逢引をしていると聞いたアリーチェの亭主フォードが予想外に表れ、現場は大混乱、ファルスタッフは、洗濯籠の中に身を隠すが、窓から川に捨てられ、びしょ濡れとなる。この姿を二人の婦人とフォードが見て、大喜びをする。アリーチェとフォードの間には、娘ナンネッタがいて、フォードは、医者のカイウスと結婚させようとしているが、ナンネッタには、恋人フェントンがいる。

　アリーチェとメグは、もう一度、ファルスタッフを懲らしめようと、アリーチェは、夜の公園で逢引をしようと、フェルスタッフを誘い、懲りないファルスタッフは、真夜中の公園に行ってしまう。すると、村人が妖精に扮して、彼を取り囲む。妖精を見ると、命がないと、考えられていた時代、ファルスタッフは、身を隠すが、村人たちに散々殴られたり、蹴られたりする。このどさくさに紛れて、フォードは、娘と医師の結婚を村人たちに認知させようとするが、アリーチェの機転で、ナンネッタは恋人のフェントンと結婚する事を、村人に認めさせてしまう。フォードも仕方なく娘の結婚を認めることになる。散々な目にあったファルスタッフは、これを理解し、「この世はすべて冗談、最後に笑った者こそが、本当に笑うのだ」と、皆と一緒に、唄って、笑うのであった。まあ、ファルスタッフはしぶしぶではあるが、最後は目出度し目出度で終わる。筋は、どうという事はないが、人生の教訓のようなセリフが随所にまぶされていて楽しかった。綺麗なアリアはないが、コミカルな筋で、言葉が分からなくても、楽しめた。４階の一番安い席で見たが、翻訳の文字もよく見え、お得だった。