2016年11月2日(水)『11月歌舞伎座、吉例顔見世大歌舞伎の昼の部、四季三番叟、染五郎の毛抜、祝勢揃寿連獅子、加賀鳶』

 歌舞伎座の11月興行、芝翫襲名披露興行の昼の部に行く。最初の幕は、四季三番叟で、襲名を寿ぐ舞踊である。梅玉、扇雀,雁治郎の舞。気品は感じたが、本当にお目出度い踊りなのかは微妙な所だ。この幕は、そんなところで、お仕舞。

続いて、染五郎の毛抜。左団次の毛抜きは随分見たが、染五郎の粂寺弾正は初めて見たが、エロくて、なかなかいい。私は、元々、粂寺弾正は、美男がやるべき役だと思っていた。染五郎は、美男を代表する役者だから、色男で、女にも男にも手を出す、色好きな侍の雰囲気を、素で出していた。小姓の松也、腰元の巻絹の梅枝に迫り、やろうよと、セクハラする所は、色気があって面白い。松也が前髪姿の美しい小姓役で、セクハラされるところが、断然エロイ、口では、嫌と言いながら、それほどでもない処が伺え、いいと思った。本当は、お仕えする殿様さえいなければ、弾正と契りを結びたかったのではないかと思わせる所が良かった。

毛抜は、歌舞伎十八番の荒事で、筋は、どうでもいい位の荒唐無稽の話だ。許嫁の御姫様が、髪が逆立つ奇病に取りつかれてしまう。そこに粂寺弾正が表れ、その謎を解くというストーリーである。弾正が、待っている間に、髭を抜くのだが、この髭抜きが、立ってしまう。これは、おかしい。弾正は、磁石で髭抜きが立ったと気が付き、お姫様の髪の毛が逆立つのも、磁石のためと考え、槍で天井を突くと、六車が転がり落ち、手には磁石を持っている。その磁石は、方向を指し示す磁石であった。その磁石では、鉄を引きつけないだろうと思うが、そんなことはどうでもいい。そして、お姫様の結婚を阻止しようという悪人を征伐し、目出度し目出度しとなる。磁石で、髪が逆立つお姫様の謎を解くというものだが、磁石で、引っ張られて、髪が逆立ってしまうという単純な仕掛けなのが、笑わせる。実に、筋はくだらない。人気役者が、弾正を、豪放磊落に、まじめに、時にはエロく演技するから、この芝居は面白い、染五郎は、この辺を上手く演じていた。

 三幕目は、祝勢揃寿連獅子(せいぞろいことぶきれんじし)。新芝翫と、3人の子供たちが、連獅子を踊る。これまでも、勘三郎襲名で勘九郎、七之助の3人の連獅子を見たが、4人の連獅子は、初めて見た。子宝に恵まれた芝翫だからこそできた4人の連獅子である。子供を引き連れて、これから破竹の快進撃に挑んでいこうとする芝翫の意気込みと、子供たちの意気込みが、ミックスして、華々しいできとなった。

 四幕目の加賀鳶は、体調が急に悪くなり、帰宅したため観ることが出来なかった。