令和3年10月15日(金)『歌舞伎座1部、天竺徳兵衛新噺を見る』

猿之助の天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)、小平次外伝、松也の俄獅子の2本。小平治外伝は、天竺徳兵衛新噺のスピンオフドラマで、初めて見た。肩のこらない、怪談話で、猿之助の早替わりと、悪婆が見もの。猿之助は、何をやらせてもうまいが、悪婆は、ニンにぴたりで、ここまで下衆にやれるのは、猿之助だけだろう。長旅の亭主の留守に、別の男とできてしまい、亭主を、新しい相手に頼んで殺してもらうような悪女だが、猿之助の人物設計が恐ろしく、細部にわたって計算されていて、亭主殺しの場は、今まで見てきた歌舞伎の殺人シーンの中では、最高に残酷で、沼に沈める度に小平次が上がってくるので、最後は一本一本の指を切り落とすまでやる惨酷さがすごい。歌舞伎で、ここまでやるかなと思ったほどだ。猿之助の早替わりも、とても早くて、これまた驚く。エンターテインメントに徹した一幕だった。

鈴木桂一郎アナウンス事務所

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