令和3年9月9日(木)『文楽デー一部、寿式三番叟、双喋々曲輪日記。二部、丗三間堂棟由来、日高川入相花王。三部、伊賀越道中双六』
今日は、一部から三部まで、10時45分から8時近くまで国立劇場小劇場で文楽を見た。
一部、寿式三番叟は、三番叟の人形の踊りに感服した。上半身下半身の動き、手足の動きが、踊りとして完成されていて、素晴らしかった。ゆったりと舞うのは、それなりに動きも想像できるが、激しいスピードの踊りでも、体の動きが自然で、次第に白熱していき、踊り狂う姿は、とても人形には見えなかった。3人の人形遣いの息が会い、人の動きを写し取っていて、破綻はなく、途中で、三番叟が踊りを止めて、休憩と言うか、息を整える仕草もあって楽しかった。
双喋々曲輪日記は、歌舞伎でお馴染みの舞台だが、引窓は、何回も見たが、難波浦喧嘩の段は、初めて見た。長五郎が、何で4人も殺したのか、その理由が分かった。解説で、長五郎と長吉がライバルと説明していたが、これは間違いだ。濡髪長五郎が最期に会いたいと訪ねた母、そして母には、再婚相手の息子に当たる南方十次兵衛がいて、母を頂点に、息子長五郎と義理の息子の南方十次兵衛の三角関係が紡ぐ、人情の物語だが、人形だからこその、人情の機敏がよく分かった。文楽で見た率直な感想では、引窓は、母を巡る、二人の子供の、人情の機敏の物語だと思った。二部は、丗三間堂棟由来と日高川入相花王。
丗三間堂棟由来は、人間と植物の異種婚姻譚であるから、人形を操る文楽には、格好の題材である。日高川入相花王は、人形の頭が、清姫の美しい顔から、鬼の顔である角出のガブに変わるところが見事だった。人形だからこそできる一瞬の変化だ。
第三部は、伊賀越道中双六。沼津は歌舞伎でもちょくちょく出るので、何回も見たが、伏見北国屋の段、伊賀上野敵討ちの段は初めて見た。面白かった。
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