令和3年4月8日(木) 『歌舞伎座1部小鍛冶、勧進帳。太十、2部太十、団子売』

歌舞伎座の1部と2部を連続して観る。1部は小鍛治、勧進帳。2部は絵本太功記、尼崎閑居の場、通称太十と団子売。

小鍛冶は、先代の猿之助で一度見たが、縦の躍動感と狐の振りが可愛くて、楽しかった記憶がある。今回は、当代の猿之助が初めて挑んだ小鍛治である。前回は、亀次郎時代に、巫女役で出ていたお記憶している。猿之助は、縦へのジャンプ力、跳躍力がとてつもないと思った。落下した時に、微動だにせず、垂直に、羽目板をどんと踏む、この力強さを出せるのは、今の歌舞伎界では猿之助だけだろう。このバネの力は猿之助の強みで、塀に消えていくところは、狐忠信のようで、独壇場である。最初の出では、大きな木から登場するのだが、童子姿が可愛くて、猿之助の役の広さにも驚く。

勧進帳は、幸四郎の弁慶と、富樫は松也が初挑戦した。堂々とした富樫だった。声量が大きくて、歌舞伎座を圧倒した。大柄な体、大きな声量、情のある武士の佇まいもある。歌舞伎は、役に会うかどうか、ニンが大事だと言うが、松也は、富樫のニンに、ぴたりと会っていたと思う。この先は、松也には、弁慶に、いつか挑んで欲しい。欲を言えば、情の出し方が、もっとあっていいと思った。情けが淡白なのである。富樫の情けがあったから、義経一行は、安宅関を通れたのであるから、富樫の情けをもっと前面に出して欲しいと思った。

幸四郎の弁慶は、幸四郎襲名の時以来、二度目の観劇だったが、余分な力の入れ過ぎがなくなり、不要な強さが抜けて、逆に弁慶の芯の強さ、精神の力強さが出てきたと思う。弁慶の豪快さと、義経に対する思いが溢れて舞台だった。

2部は絵本太功記、尼崎閑居の場、通称太十と団子売の2本。絵本太功記、尼崎閑居の場、通称太十と団子売。光秀は芝翫、操は魁春,十次郎は菊之助、初菊は梅枝,母東蔵、正清を弥十郎、久吉は扇雀、と、現代的には、大顔合わせである。盛り上がったのは、初菊と十次郎の絡みの美しさだけ、十次郎の悲壮感も盛り上がった。ただ主役の光秀の芝翫が、今一つ、大きさにかけたので、悲劇が悲劇として回らなかった。団子売りは、梅玉と孝太郎、特に印象は残らなかった